物語文の読解

情景描写に気をつける

投稿日:2018年4月14日 更新日:

おおまかなことは「登場人物の心情とその変化をつかみとる」で説明しています。情景描写は特に細かく読み取る必要はありません。細かいところまで分かるに越したことはありませんが初めからそう上手くはいきません。

情景描写の読み取りで大事なことはイメージでとらえることです。例えば、その場面が「明るい」、「暗い」、「楽しい」、「かなしい」など大雑把なイメージでとらえることが読み取りの第一歩です。

実際に情景描写を読み取ってみる

(場面の説明)
達也君は家の事情で都会から田舎に引っ越すことになりました。友達とも離れ前の家に戻りたいと思っていましたが祖父と話しているうちに新しい環境で頑張っていこうと思いはじめています。

ふと空を見上げると満天の星空が広がっていた。空を見上げる達也を見ておじいさんは微笑みながら声をかけた。
「きれいだろう。」
「うん。」
しばらく星を見た後に達也は「家に帰ろう」と誰に言うわけでもなく言った。家に帰ろうとする達也を見守るように流れ星がキラリと輝いた。

思いつきでつくった文章なので芸術性はないですが、どんなイメージが浮かぶでしょうか?情景描写は「満天の星空」や「流れ星」になります。

これらの描写から達也君のこれからがどのように読み取れるでしょうか?よい未来でしょうか?それとも悪い未来でしょうか?

はっきりとは書かれていませんが、「流れ星」から想像されることを考えてください。流れ星が流れている間に願い事を3回唱えると願い事が叶うということが言われています。つまり、「流れ星=良いイメージ」と考えられることができます。

ですから、この場面で設問が作られた場合、選択肢の問題であれば自動的にプラスイメージの選択肢から選ばなくてはいけません。

書く必要がなさそうな情報に大切なことが隠れている

基本的に文章というものは必要のないものは書かれていません。逆に言えば書かれていることは何らかの意味を持っているということです。

上の文章で「家に帰ろうとする達也を見守るように流れ星がキラリと輝いた。」という文は別にあってもなくても大差がない文のように見えます。しかし、この文があることで達也の未来が良いものになりそうなイメージを読者に伝えます。もし、この文が他の文になっていたら話がずいぶんと変わってきます。

例えばこんな感じになります。

ふと空を見上げると満天の星空が広がっていた。空を見上げる達也を見ておじいさんは微笑みながら声をかけた。
「きれいだろう。」
「うん。」
しばらく星を見た後に達也は「家に帰ろう」と誰に言うわけでもなく言った。ところが達也が立ち上がろうと思った途端に突如として雨が降り始め、ついには雷までも鳴り始めた。

いかがでしょうか?すいぶんとこの後の展開が変ってきそうな感じがすると思います。あまり良くないことが起きそうな感じですよね。

なぜそう感じるのかというと「雷」という語の持つイメージです。「雷」という語が良いイメージではないためこの場面のイメージも良くないものになります。情景描写の読み取りというと難しい感じがしますがそれほど複雑な話ではありません。

たった文を1つ変えただけでも話の内容が変ってきます。情景描写はこれぐらい大きな意味をもっていますので気をつけて読むようにしてください。しかし、それほど深く考える必要はありません。大切なのはプラスイメージなのかマイナスイメージなのかというとらえ方です。

今回のように「流れ星」と「雷」を対比させればだれでも気がつけます。ですから普段からこういった情景描写を見つけたらプラスなのかマイナスなのか大まかでいいので問題文に書き込んでおけばいいだけの話です。

情景描写が見つからなくても場面のイメージがプラスかマイナスかは分かると思います。そしてそのイメージは「どこを読んでそう感じたのか?」を意識して読み直してください。すると比較的容易に情景描写が見つけることができると思います。

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