誤解その3.読書をすれば国語ができるようになる
国語力は「本をたくさん読むことで身につく」とよく聞きますが、本当なのでしょうか?いろいろな意見はあると思いますが、私はこの考え方について少し懐疑的です。ですから、私は読書をたくさんすることが国語の成績を上げる近道とは考えていません。
もちろん、読書が好きで国語は何もしなくても点数が取れるという人がいます。しかし、それとは逆に読書は好きだが国語はそれほど得意ではないという人も存在します。また、読書はまったくしないけれども国語はなぜか得意という人もいます。
つまり、「読書をたくさんする=国語が得意」とは言い切れないわけではありません。ただでさえ時間のない中学受験生に「読書をしろ」なんてアドバイスは非現実的です。
読解力とは、言葉を使った論理的な思考力です。そして、その力を身につけるには今読めるものより少しだけ難度の高い文章を読むことです。簡単な文章や読みなれたタイプの文章を読むことでは決して身につけることができません。
文章には一定のルールがあります。説明的文章(説明文・論説文)であれば自らの主張を説明するための論理構成があり、
物語文であれば人物の心情をより深く表現するための表現技法が存在します。
それらを主観を交えずに忠実に読み取ることが少なくとも受験国語では必要になります。そのための近道が何かといえば数多くの入試問題を読むことだと思います。実際にこの方法で国語の成績が上がったというお子さんが数多く存在します。
読解力がある人というのは何も特別な能力があるというわけではありません。文章の論理構成や表現技法といった読解の法則を意識して文章を読んでいるだけです。ですから読解力をつけるために読解法則を意識して読むようにしましょうということです。
なぜ入試問題の文章なのか?
別に市販のテキストや問題集でもいいのではないか?と思われるかもしれませんが、読解力をつける上で大切なことは難度がある程度高く質のよい文章を読むことです。そしてその条件を満たしているものが実際に入試で使われた文章とです。
入試問題では世の中にある数多くの文章から学校が何らかの意図を持って選んでいます。その意図とは「この文章の内容をしっかりと読み取れる生徒が欲しい」というものです。ですからあなたのお子さんにそういった力を身につけるさせるために最適な教材なのです。
なぜ音読なのか?
音読をさせるには大きく2つの理由があります。
一つ目の理由は、読み飛ばしや読み間違いを避け、しっかりと読む習慣をつけるためです。読解の苦手な子はサッと読んでしまい文章の内容を把握しながら読むことをしません。
音読をすることによって読み飛ばすことはできませんし読み違いの訂正もできます。また、黙読よりも音読の方が文章の内容が頭に入りやすく内容の理解も容易になります。
二つ目の理由は、読んだ・読んでない論争をさけるためです。中学受験生の勉強をさまたげる最大かつ最悪の要因は親子のバトルです。勉強時間の半分以上が親子でバトルの時間だった……。なんてことも珍しくありません。
読解の苦手な子は文章を読むのを嫌がるので短時間で読もうとします。親であるあなたはお子さんのそんな姿に腹を立て「ちゃんと読みなさい!」と怒ります。あとは文章を読むことはそっちのけで「ちゃんと読んだ・読んでない論争」に突入します。
そういうわずらわしいバトルを避けるためにも音読です。読み方がヘンであればあなたがまず読んで次にお子さんに読ませるようにしてください。注意するばかりではお子さんだってイヤになってきます。
読むことに集中させる
音読をさせるとお子さんの読み方が頼りないためつい横から口を出したくなります。また、語彙力を同時につけさせたい気持ちから分からない言葉を調べさせようとします。気持ちは分かりますがまずはお子さんに読むことに集中させてあげてください。
辞書で調べる勉強をしたければ調べる勉強として別にやってください。読む勉強と調べる勉強を一緒に行おうとするとどちらも中途半端に終わってしまいます。お子さんが分からない単語は親が辞書がわりになって口頭で答えるだけで十分です。
音読の具体的な方法
音読の具体的な方法といっても特にルールがあるわけではありません。守らなくてはいけないことは音読をすることとかならず毎日行うということぐらいです。特に時間制限を設ける必要もありませんのでじっくりと読む習慣をつけさせてください。
入試問題についてもどこの学校の問題でもかまいませんので適当な学校を選んでください。その中から文章を1つ選び、スムーズに読めるようになるまでくり返し読んでください。あくまで目安に過ぎませんが週に2つぐらいの文章が読めればいいと思います。