選択式問題と記述式問題を比べると一見、選択式問題の方が簡単に思えます。だから、お子さんが選択式問題を間違えると「なぜこれを間違えるの?」と思いがちですが、選択式問題で正解する方が記述式問題で正解するよりも難しいのです。
なぜ、記述式問題の方が難しいと感じるのかというと、何もないところから解答をつくらなければいけないと感じさせるからです。一方で選択式問題は”選べばいい”と考えがちです。しかし、ここに大きな落とし穴があります。記述式問題で解答をつくってはいけませんし、選択式問題で答えを選んではいけません。
記述式であろうと選択式であろうと解き方はまったく同じです。違うのは記述式では文章で答えを書き、選択式では記号で答えるという解答方法だけです。答え方が違うだけで答えを出すまでのプロセスに違いがあるわけではありません。
選択式問題が難しい理由
国語が苦手な子は選択式問題を解く際に選択肢を比較して正解を選ぼうとします。しかし、この方法では読解問題の大前提「本文を読んで答える」ことから遠ざかります。
通常、選択肢は次のものからつくられています。
1.正しい選択肢
2.いかにも正しそうに見えるが間違っている選択肢
3.あきらかに間違っている選択肢
よく、「最後の2つまでは絞れるけれど最後の2つで間違ってしまう」と言う方がいます。しかし、最後の2つまで絞れるというのは当たり前のことなのです。なぜなら「正しい選択肢」と「いかにも正しそうに見える選択肢」が残るからです。
2つにまで絞れるのは当然。
極端な話、選択式問題はそもそも2択問題なのです。
しかし、この2択が難しい。正しい選択肢はかならずしも文章と同じ言葉を使っているとは限りません。わざと難しい表現をしていたり、言い換えが使われたりしています。
本文に「他者との係わりがない人生はこれ以上ないほど不幸なことだ」という記述があり選択肢に「孤独な人生ほど大きな不幸はない」というものがあったとします。
この2つが同じことを言っているかどうかを判断できるか正解・不正解を分けます。これが記述式問題なら「他者との係わりがない人生はこれ以上ないほど不幸なことだ」とそっくりそのまま書けばいいだけです。
記述式問題では文章中の言葉をそのままつかって解答すればいいのですが、選択式問題では解答根拠を探すとともに多角的な視点から判断する力も大事になります。そのためには語彙力・文法力・文意把握など多くの能力が必要です。
選択式問題でもまずは自分で答えを考える
選択式問題で問題で「選択肢を比較して正しいものを選ぶ」ことは危険です。なぜなら選択肢の中に「いかにも正しそうに見える選択肢」があるからです。
実はこの「いかにも正しそうな選択肢」というものがくせ者です。小学生にも分かりやすい表現で書かれ、本文中に書かれている語を巧みに使っています。本文と照らし合わせずに”なんとなく合っていそう”で選ぶ子はまずひっかかります。
その「甘い罠」にひっかからないようにするためには選択肢を見る前にまずは自分なりに解答をイメージしてそれから選択肢を見ることです。解答をイメージしておけば「いかにも正しい選択肢」に引っかかることは少なくなります。
また、これは記述式対策にもなります。自分で解答をイメージすることができれば記述式ではそれを書けばいいだけです。
お気づきになられたでしょうか?記述式問題と選択肢問題とでは記述式問題の方が1ステップ少なく解答にたどりつきます。ですから、最初にも記述式問題の方が簡単だと書きました。
選択式問題を解く際に重要なことは次の2つです。
1.選択肢を見る前に自分なりに解答をイメージする
2.選択肢は選ぶのではなく消す
この2つのことを意識して普段から問題を解いていくようにすれば選択式問題はもちろん、記述式問題の正答率も上がっていくようになります。